建設業の「決算変更届」を毎年提出していないと、許可更新できない?行政書士が解説します

建設業を営む上で欠かせない手続きのひとつが 「決算変更届(事業年度終了報告)」。
ですが現場では、
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「忙しくて何年も出していない…」
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「決算変更届を出してないけど、更新できるの?」
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「罰則ってあるの?」
といった相談が非常に多いです。
結論から先にお伝えすると――
結論:決算変更届を提出していないと、建設業許可の更新は “原則できません”。
許可更新の際に、過去5年間分の すべての決算変更届が提出済みであること が必須です。
つまり、
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1年でも出していない年がある
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数年分まとめて未提出のまま放置している
こういう状態だと、更新申請を受け付けてもらえません。
そもそも「決算変更届」とは?
建設業者は毎年、事業年度が終了した日から 4カ月以内 に以下の書類を提出しなければなりません。
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事業年度終了報告書
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工事経歴書
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直前3年の工事施工金額
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財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
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使用人数 など
法律上の義務(建設業法第11条)であり、「出してもし出さなくてもいい書類」ではありません。
なぜ決算変更届を出していないと更新できないの?
理由はシンプルで、
➤ 許可行政庁は、事業の実態(経営状況・工事実績)を把握しないと更新可否の判断ができないため。
そのため、
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直近5年の決算変更届が揃っている=事業の継続性・経営状況を確認できる
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書類が欠けている → 経営状態が把握できず、更新判断ができない
となります。
実際にあるケース
● 5年分出していないまま更新時期が来た
→ 未提出分を「まとめて提出」すれば更新申請できます。
● 税理士が作った決算書しかなく、建設業用の財務諸表がない
→ 行政書士が建設業用に再作成する必要あり。
未提出のまま更新時期を迎えた場合どうすればいい?
手順は次の通り。
① まずは未提出の決算変更届をすべて作成
年数分まとめて作成します。
② 行政庁へ全て提出
(原則として受理してくれます)
③ 決算変更届の受理後に「許可更新申請」を提出
この順番が重要です。
多くの建設業者がやりがちな「勘違い」
✖ 決算変更届は更新のときにまとめて出せばいい
→ 法律上は毎年必要。未提出は違反。
✖ 税理士が決算書を作っているから提出しなくてもいい
→ 決算書と「決算変更届」は別物。
✖ 数年出してなくても特に問題ない
→ 更新できないだけでなく、指導が入ることもあります。
提出していなかった場合のペナルティは?
罰金などの「刑事罰」は通常ありませんが、
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行政指導
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今後の監査で不利
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経営事項審査(経審)での減点
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公共工事の入札資格に影響
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更新できず許可失効 → 無許可営業扱い
など、業務に大きな支障が出ます。
特に、許可失効は再取得まで数カ月かかり、その間は 元請けから仕事を受けられない 可能性も。
更新前に必ず「未提出の年がないか」確認を
建設業者さんの多くが、
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日々の現場が忙しい
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経理担当が辞めた
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税理士任せだと思っていた
などの理由で、決算変更届を数年放置してしまっています。
しかし、更新直前で慌てるのが一番危険。
決算変更届の未提出=建設業許可が危うい
ということはぜひ覚えておいてください。
もし「何年分出してないかわからない」という場合は、行政庁に照会することで提出履歴を確認できます。行政書士に依頼すれば、まとめて届出書を作成し、短期で整えることも可能です。

